「…言われてみればそうだよな。他人の子供なんて理由もなしに引き取ろうとするわけがない」
「理人さん」
「…なんだよ」
相変わらずこういう時はマイナス思考になる理人さんが嫌になる。
「理人さんはバカですね」
「っはぁ!?急に、なんなんだよお前!」
痛いほど愛されているのに気付かない。
朱音さんや奏汰さんはもちろん、依織さんも羽場さんもみんな理人さんの事を想っているというのに。
「理人さんが昔どんな風に生まれたって、どんな過去があったって、それで貴方の価値が変わるわけじゃないでしょ」
愛される事がどういう事か分かっていない彼を私は独りになんかしたくない。
例え嫌いだと言われても、またあの日のように冷たく帰れと言われても私はこの人の傍に居たい。
分かってくれるまで、ウザがられても理人さんがいかに周りに愛されているかを伝えたい。
「理人さんはどっちがショックでした?ご両親が亡くなってた事?それとも依織さんの事?」

