この辺りには大きな勢力を持った暴走族がいた。
その当時は、本当に有名で1番強い奴らだった。
数え切れない人数の仲間がいる分色んな奴らがいて、そんな奴らを纏めていたのが雨音だったんだ。
…まぁ、“総長”っていうリーダーみたいな感じかな。
普通、というか今まで総長は男だったのもあって相当反感もあったし抜けていく奴も多かった。
今考えれば、雨音もどこか思うところがあったんだと思う。
そんな中、心の支えになった事と生まれた環境や考え方が同じだったのもあって1人の男と付き合い出したんだ。
その男は同じ仲間で、俺の親友でもあった。
本っ当に呆れるくらい2人は仲が良くて、毎日のように一緒に居たよ。
でも、そんな時だった。
雨音の彼氏が死んだのは。
……事故だった。
雨音や俺らの目の前でバイクに轢かれたんだ。
轢かれた拍子に倒れた先で、打ちどころが悪くてほぼ即死だった。
大切な人を失った雨音はその日を境に壊れていった。
俺はそんな雨音を親友の代わりに支えた。
どんな時も傍に居たし、呼ばれればどこでも何時でも飛んで行った。
そんな矢先、少し体調が良くなっていた雨音の姿に俺は油断していたんだ。
ある日、雨音は歩道橋から飛び降りた。
自殺未遂だった。
救急で病院に運ばれて、検査された結果で一つだけ分かった事があった。

