「あ、ごめんね。もしかして急いでた?」
「いえ、そんな事はないですけど…。私に何か?」
理人さんと何時に会うか、なんて約束してないから時間に限りはないけど…。
「君は、理人と付き合ってるのか」
聞いてきたのは依織さんではなく羽場さんだった。
「えっ!?」
妙に独特な雰囲気がある羽場さんと、こうして向かい合うと緊張感に包まれた。
なんだか、貫禄というかなんというか。
「付き合ってないです!友達というか、…なんというか……」
「でも君は理人が好きなんだろう?」
「ちょ、朔良さん!女の子に対してストレート過ぎますよ!」
「お前みたいにモジモジしてるのが嫌いなんだよ俺は」
「っ、俺は別にモジモジなんか!」
「してるだろうがさっきから」
何かを言いかけたのは気付いていた。
「…別に隠す必要は無いし、例えそうでも俺らは反対しないから安心しろ。ただ、」
「…“ただ”?」

