「分かりました。理人さんには今日の事は言わないので安心してください」
自分を大切にしている人を不器用ながらも大切にしている理人さんに、この事を知られたら多分彼は心配するに違いない。
“かっこ悪いから知られたくない”のはきっと理人さんに心配させたくないから。
「ありがとう。翠ちゃんは優しいね。理人が君みたいな子に出会えてよかったよ」
「私は別にそんな、」
「あいつももう21だし、そろそろ良い人がいてもおかしくないから」
「えっ、確か理人さんって20歳じゃ…」
「あれ?理人の誕生日知らない?11月24日だよ」
「去年…、知りませんでした…」
…11月のその時はまだ気まずかった時だ。
その間に誕生日が来ていたとは思わなかった
そんな時、あ、と口を開いた依織さん。
でも気まずそうに顔を逸らして言いかけた言葉を止めた。
「…依織」
「や、でも…」
「えっと…、じゃあ私はそろそろ戻りますね」
ひょっとして邪魔なのか、と思いクラブを出ようとした時引き止められた。

