「おう、タダ飯食いに来たのか。穀潰し野郎」

「辛辣だなあ」


週末だけはカフェもバーも営業している朱音。
よく働くわと思うが本人は楽しんでいるようで上手くこなしている。


「あれ、奏汰は?」

「家に帰った」

「は、珍しい」

「明日仕事だからな」


日曜日が1番忙しいカフェ。
ヘトヘトになった奏汰は一足先に帰ったらしい。

しばらくして、目の前に置かれたのはナポリタン。


「今日俺休みだし、夜手伝おうか?」

「いーよ、夜なら俺でも回せるから」


ピコン、という通知音にうつ伏せに置いていたスマホを手に取った。


「なぁ、理人?」

「んー?」

「お前、寂しいんだろ」

「え」

「翠ちゃん、来なくなったもんな?」

「……」


見上げると朱音が微笑んでいた。
スっと朱音の視線が持っていたスマホへと移り、悟られないようにスマホの画面を伏せて置いた。


「……夏休みが明けて、すぐテストがあったんだって。だから忙しくて来れなかったみたい」

「……」

「んで、昨日?明日か分かんねぇけど今修学旅行中らしいぞ」

「……あっそ」


俺のそんなぶっきらぼうな物言いにフルーツをカットしていた朱音の手が止まった。