「おいてめぇ仕事しろよ、邪魔すんなら帰れよ」
「…今すぐにやります」
客向けの営業スマイルの後に流れるように奏汰の耳元で這いつくばるような低い声で囁く朱音にぷッと笑いが出てしまう。
「お前もさっさと上行って寝てろ!」
「はぁい」
週末のカフェ営業は比べられないほど忙しい。
基本的に1人で回れるような店内の広さだが、外に待っている客が居ると思うと流石に朱音も焦るんだろう。
邪魔しないようにそっと2階へと逃げ込んだ。
この前開いた動画サイトのアカウントが気に入り最近では結構流すようになった。
ソファに横になり、履歴から途中で見終わっていた動画をタップする。
動画を見ていれば時間はあっという間に過ぎるのだ。
気付けば寝ていて、起きたらもう19時になっていた。
カフェ営業はもう既に終わってるだろう。
まだ2人は店にいるだろうか。
欠伸をしながら1階へと向かった。

