人に好かれるような生き方をしてきたわけじゃない。
自分の過去を呪い、憎んで、いつだって人のせいにしてきた。


俺なんかが、応えていいのか…?


いや、俺は20歳過ぎていて11月には21になる。
翠は確かまだ高2だと言っていた。


駄目だろう?


翠は心からぶつかってきてるのに、俺はそれに正面から向き合う事ができない。
その真っ直ぐさに痛いほど苦しくなる。


今すぐに駆け寄りたい。
ただ一言、「今までごめん」と言えばきっと彼女は許していつものように笑いかける。



「……帰れ」



今の俺に翠の隣にいる資格はない。

ガチャン、とドアを閉めた瞬間にその場に座り込んだ。
向こう側から微かに泣き声が聞こえる。



─────『じゃあその子に彼氏が出来たらどうすんだよ』



…そんなの、嫌に決まってる。


どうして俺は傷付ける事しか出来ないんだ。


「っ、クソ、」