だいぶ前にこっ酷く叱ったというのに、コイツは性懲りも無くまたこんな時間にこんな所に1人でノコノコやって来たのか。
「奏汰になんて言われて来たのか知らねぇけど、見ての通り今日は休みだから」
「……」
「まだ電車もバスも動いてんだろ。俺は送ってってやらねぇからな」
深く関わらない方がいい。
最初から間違ってたんだ。
ここでまた家まで送ると勘違いさせてしまう。
2階に上がろうとした時だった。
「なんで!!!」
「…はぁ?お前を家まで送る義理なんて俺には、」
「なんで私の事無視するんですか!?」
その言葉に分かりやすく反応してしまった。
「ずっと連絡が取れなくて、何か事故にでも遭ったんじゃないかって凄く心配したんですよ!?」
「…」
「いつもみたいにコンビニに行っても全然いないし、私理人さんに何かしましたか?」
いいや、何も悪くない。
翠は何一つ悪くないんだよ。
「俺の問題だからお前は悪くないよ」
そうだ。
自分よりも数個年下の女に、自分と変わらない境遇だと淡い期待を抱いて親近感を持ってしまった。

