5時までの営業を終え、そこから掃除やミーティングを終えて「帰っていいよ」と言われたのは6時になった時だった。
外へ出るとやたら眩しい明るさに目を瞑った。
「おつかれー」
「え、お前仕事は?8時には着いとかなきゃダメなんじゃなかった?」
現場集合らしく、いつも7時半には家を出ているようだった。
それなのに目の前には私服姿の奏汰が。
「今日は休み」
「尚更何してんの。休みの日は1日中寝てるくせに」
「煙草吸いに来た」
「いやお前吸わねぇじゃん」
「依織くんに会いに来た」
「…中に居るけど」
「え、マジ?」
用があるなら呼ぼうか?と中に戻ろうすれば奏汰は慌てて俺を止めた。
「……なんなんだよ、俺もう帰って寝たいんだけど」
依織くんは毎日いるわけじゃない。
最近はよく出勤しているけど。
「最近元気ないから心配してんだよ」
「は?別に元気だけど」
「じゃあ、……翠ちゃんとはどうなんだよ」
煙草に火をつけようとした手が止まった。
ふと奏汰を見ると真っ直ぐに俺を見ていた。
「好きなんだろ?あの子の事」
「は、お前何言ってんの」
普段何も考えていないように見えてこいつはよく周りを見てるしよく物事を考えている。

