朱音の飯を食べられる!とご機嫌になった翠を横目にそんなに元気になったなら大丈夫か、と一安心する。
いつの間に朱音に懐いたのかあまり気に食わないが。
翠と2人で階段降り、カウンターに居るはずの朱音へ話しかける。
「朱音ー、腹減ったんだけどー……って、」
「よぉ、理人」
ニヤニヤとしながらこちらに手を振っている依織くんがカウンター席に座っていた。
その隣には奏汰もいて飲まされたのか、酒に酔っているようだった。
「えっ?じゃああの子が噂の翠ちゃん!?」
柄にもなく目をキラキラとさせて、その表情は興味津々だと分かりやすく書いてある。
…最悪だ。
翠に会わせるつもりも、依織くんに会わせるつもりも全くなかったのに。
…というか、依織くんがいるという事は大体朔良さんも……。
トイレの水を流す音が聞こえた後、出てきたのは案の定朔良さんで。
「は、嘘だろ。なんで朔良さんまで…」
「久しぶりだな、理人」
「どーも」
目の前に座っている翠は常連さながらの依織くん達を見て「誰だろう?」と首を傾げている。

