翠が寝ている間にシャワーを浴び、濡れたままの髪の毛を指摘され寝室から出て洗面所へと向かう。
髪を乾かしてから再び戻ると、アイスを少しだけ残して翠は眠っていた。
「翠?」
初めて本人の前で名前を呼んだ気がする。
眠っていて聞こえてないようだけど。
ベッドの傍らに腰掛け、さっきよりは苦しくなさそうな表情にホッとした。
窓から差し込む外の街灯が薄いカーテンを通して彼女を照らしている。
流れるような綺麗な髪の毛に、白い肌。
「早く良くなれ…」
笑っている方が似合っている。
よく話す姿しか知らなかったせいで心配になる。
俺にしてあげられる事なんて何もないかもしれないけれど。

