あの人達は酔ってたとしても変な事は覚えてるからきっとこいつの話も面白がって依織くんは朔良さんに話してるんだろう。
「…で?何してんのお前」
「えっ、と…」
自分でも低く冷たい声が出たのを感じた。
案の定、ピクリと肩を揺らして固まっている。
「ノコノコこいつに連れられてここまで来たってわけ?」
「は、い…」
「お前馬鹿だろ。こいつが俺と全くの赤の他人だったらとか考えなかったのかよ。こんな夜中に男についてって無事で済むと思ってんの?」
「ごめんなさっ、」
「お前は女で、相手は男なんだぞ!?高校生ならどうなるかくらいお前だって分かんだろ!?」
涙目になった彼女に、つい言いすぎてしまったと息を飲んだ。
違う。こんな風に怒るつもりじゃなかった。
ただ軽く注意しようとしただけなのに。
こいつを前にするとどうも上手くいかない。
「……親御さんは?」
「仕事で、いないです…」
…親がいるはずなのに、どうしてこいつはいつも寂しそうに1人なのか。

