道路も綺麗に整備され、等間隔に植えられている木に煉瓦で造られた花壇がこの住宅街の治安の良さを物語っていた。
「あんた、良い所に住んでんじゃん」
「え?」
「やっぱりお嬢様じゃねぇの?」
「違いますよ」
「つかもうお嬢様でよくね?めんどくせぇし」
やはり、分からなかった。
こんな所に住んで、汚れを知らなさそうな彼女がどうしてあんなクラブに来たのか。
「もっと酷いのかと思った」
「何がですか?」
「クラブに来るくらいだから、何かあんのかと」
「何もないですよ、別に」
あぁ、この目。
遠くを見つめるこの目が引っかかったのだ。

