『……は?今何つった?生まれてこなきゃ良かった、だあ?』
『っ、』
『ふざけるなよ!!!』
グンッと胸ぐらを掴まれ引き寄せられた。
抵抗しようとしても力に敵わず離れられない。
『お前が生まれてなかったら俺はっ……、』
胸ぐらを掴んでいる依織くんの手も声も震えていた。
『もうとっくに…』
『お、おい…?』
言葉に詰まる依織くんに正直動揺した。
こんな風に感情的になる人なんだと。
どういう理由で両親が俺の事を手放したのかは知らない。
『…理人、お前は独りなんかじゃない』
『っ、……』
『俺が傍にいてやる』
『……っ、ぅ、』
初めて出会った時と同じように依織くんは俺を強く抱き締めた。
あの時と違うのは俺が泣いているという事だけ。

