『…昔、俺らの所に来てたのって何だったわけ?ボランティアとかふざけんな……』
『…』
『特殊な環境で育った可哀想な子供に優しくして楽しかったか?“良い人”になれて満たされたか?』
『理人、』
『ふざけんな!!気安く名前呼ぶなよ!』
好きで独りになったわけじゃねぇのに、どうして俺達が笑われないといけねぇんだよ。
雪が降っていた日に俺は捨てられたらしい。
俺の母親は生まれて数ヶ月の俺をそんな日に手放したのだ。
『親がいねぇ奴はそんなに可哀想なのか?誰も、産んでくれなんて頼んでねぇのに』
乳児院で育てられた俺は今の施設へと移る事になり今までを過ごして来た。
母親も父親も今何をしているのか、生きているのかさえも知らない。
『…消えろよ鬱陶しい』
…なんでお前が、そんな苦しそうな顔すんだよ。
『…もう嫌だ。もう無理。何もかもめんどくさい。生まれてこなきゃ良かったわ』
好奇の目で見てくる奴に爪を立て威嚇し、可哀想な子として生きるのも。
独りで居るのも。

