あの頃と同じように。
昔と違っていたのは2人の周りには厳つい顔をした男が2人を、特に朔良さんを囲むように立っていた事だった。
『何だよ、悲しいなぁ。俺らの事忘れたのか?』
『…話しかけんな。今忙しいんだよ』
『おいおい、まだ殴んの?そいつもう意識無ぇじゃん。そんくらいにしとけって』
『あー…。マジでうぜぇ…』
既に意識の無いそいつの胸ぐらから手を離すと、ドサッと地面に落ちた。
そして、そのまま依織くんに駆け寄り殴りかかった拳は綺麗に頬に1発、見事に命中した。
…こいつ、避けねぇのかよ。
そう思ったのはつかの間、鈍く独特な痛みと血の味がしたかと思えばいつの間にか俺は地面に叩き付けられていた。
『ってぇなぁ!!!』
『舐めんなよ、クソガキが』
『っ、あぁ!?』
辛うじて顔を上げ、依織くんを見上げると恐ろしく冷たい目で俺を見下ろしていた。
その瞬間にゾクリとした何かが背中を走った。
まるで知らない人のようなその雰囲気に俺はこの時恐怖を感じていた。

