…あぁ俺はあの2人にも捨てられたのか。
あの2人にさえも、捨てられてしまったんだ。
腹が立つというよりも笑えてくる。
一体俺はあの人達のどこを信じていたんだろう。
素性も知らないあの人達の何を。
俺はあの人達にとって何だったんだろう。
それから数年が経ち、2人に再会したのは俺が中学生になった時だった。
その頃には絵に描いたように大人達に反抗しては自分の気に食わない事に苛立ちを覚え逆らっていた。
気に入らない奴は降参するまで殴り蹴り、時によって意識が無くなるまで喧嘩に明け暮れていた。
『相変わらず元気にしてるみたいだな、理人』
大通りから外れた人気の少ない道でその日も喧嘩していた。
血だらけになった奴の胸ぐらを掴み、拳を振り上げた時だった。
聞き覚えのある声がしたのは。
『あ?誰だお前』
嘘だ。一瞬で分かった。
昔と変わらない…、いやほんの少しだけ老けた姿の依織くんとその少し後ろには朔良さんが立っていた。

