小学生にもなれば自分の置かれている環境が普通ではない事を思い知る事になった。
“施設に居る事は普通ではない”
“おかしい事だ”
と同級生にからかわれ、虐められた。
学校から帰った後すぐにおばさんに詰め寄って問いただした。
…俺はどうやら生まれてすぐに親に捨てられたらしい。
ショックだったかもしれない。
自分でもよく分からなかった。
おばさんはまだ言うつもりではなかったと言っていた。
施設から1歩でも外に出れば俺は“可哀想な子”として同情の目で見られた。
そんな視線が鬱陶しい。
親がいるだけでそんなに偉いのか。
親がいないだけで俺は“可哀想な子”になるのか。
周りと変わらない、俺は普通に生きているのに。
そんな不安を相談できたはずの依織くんと朔良さんはいつの間にか来なくなっていた。
…どうして来なくなった?
俺達が、俺が嫌いになったのか?
『あぁ、飽きたんだろ。親がいなかったり特殊な環境に居る俺達の相手をして良い事してる自分に酔ってたんじゃねぇの?』
『所詮アイツらも偽善者なんだよ』
誰かがそう言っていた。
ボランティアなんてそんなもんだと。

