ビビビビビッ、とうるさいくらい耳元で繰り返すアラームを無意識に止める手のせいで1発で起きれた事なんて1度もない。


時間を見ると《19時10分》の表示。


……今日はいつもより少し寝過ぎたかもしれない。


内心焦りながらもクローゼットから適当に服を取り出して着替え、1階へと降りた。


「あ、理人」

「んだよ、また居んのかよ」


カウンター席に座って酒を飲みながら朱音と話していた奏汰が少し酔っ払っているのかヒラヒラと俺に向かって手を振っている。


「ダメなのかよ〜」

「どっか行くのか」

「仕事」

「へぇ珍しい!あの理人が自分から仕事に行くなんて!」

「俺を何だと思ってんだよ」


2人を横目にグラスに水を注いで一気に飲み干す。
冷たい水が体の中に流れていくのが分かった。


「サボり魔」

「遅刻魔」

「朱音、やっぱりこいつは社不だろ」


…散々な言われよう。


「殺意しか湧かねぇ」

「この前依織くんにまたこってり絞られたんだろ」

「なんなら朔良さんも居たわ」

「嘘だろ。お前どんなメンタルしてんの」

「だから行くんだよ!!」


思い切り持っていたグラスをシンクに置くとガンッという音が大きく響いた瞬間、隣に居た朱音に頭を殴られた。


「いっ、」

「さっさと行ってこい、この穀潰しが」