「あっ、す、すみません!!俺、理人さんの連れだって知らなくてっ、」
「いや、俺は別にこいつとは…」
“理人さん”と呼ばれた彼が言い終わる前に、逃げるように去って行った男の人達。
ふと目が合って「あー…」と声を漏らした。
「手首、大丈夫?赤くなってるけど」
「ぁ、大丈夫です」
「そう」
「助けてくれてありがとうございます」
「あんななの目の前でやられて目障りだったから。たまたまあんたを守る形になったけど」
フロアを見るとユズが楽しそうに誰かと話しているのが見えた。
流石と言うべきか、コミュ力お化けのユズには敵わないなぁと思ってしまう。
「……こっち、来て」
「えっ」
「なんだよ、またナンパされてぇの?」
次は見て見ぬ振りするから。
と淡々と言われて「こっちに来て」と言われるがまま彼の背中を追いかけた。

