「いやまぁ、夏休み前にクラブ行ったでしょ?そこでちょっと知り合ったというか、なんというか…」
「はぁ!?私そんなの聞いてないんですけど!」
「そこで学生証落としちゃってたみたいで届けに来てくれたんだよ」
「えっ」
そう言った時、ユズの表情が歪んだ。
「なにそれ、大丈夫なの?」
「単純に藤咲の学生だったから気になって届けてくれたんだと思う」
「あぁ〜、うちって勘違いされやすいからねぇ」
「そうそう」
「でもだからってなんでその人の家に泊まる事になんのよ!」
「まぁ、助けてもらったというか…」
「いかがわしい!」
「何もしてないわ!」
どうやらユズは理人さんとはクラブで知り合ったというところが引っかかるらしい。
その気持ちは分からないでもないけれど。
「まぁでも?翠の話聞く限りまともそうだし。なによりおばさんと仲直りするの協力してくれたんでしょ?」
「うん」
「良かったね」
ユズは自分の事のように喜んでくれた。
家のいざこざを知っているからこそ、ずっと気にしてくれていたんだと思う。

