「今度私もお礼させてください」

「いーよ、そんなの」

「理人さんが勇気をくれたので」


大きな音を立ててエンジンがついたバイク。
人にはヘルメットをしろ、と言うのに理人さんは毎回着けない。


「…いいよ、マジで」

「え?」

「いや、俺この後仕事あっから。じゃあな」

「あ、また連絡します!」


呆気なく去って行った理人さんの後ろ姿を見えなくなるまで見送った。

次はいつ会えるだろう。
会いに行っていいんだろうか。

そう考えながら。


そうして、私の夏休みは終わっていった。