「何してんの?」
この場に似合わない凛とした声がこの状況を止めた。
そこには気だるそうに私達を見る男の人が立っていた。
「あ?誰だお前」
「誰でもないけど。何してんのって聞いてんの」
「見りゃ分かるだろ」
「おう。嫌がってるように見えたから」
「ふはっ、ヒーロー気取りかよ」
彼の視線は私に移り、あざとく頭を傾げながら「余計なお世話だった?」と聞いた。
言葉が出ずに頭を横に振るとニコリと笑った。
「嫌だってさ。離してやってよ、手」
「いっ、」
私の手首を掴む手をぎゅっと握った彼。
男の人は痛そうに顔を歪ませて、その手の力がどんどん弱くなっていく。
「……お、おまっ、」
「あ?んだよ!?」
「この人、理人さんだよ!!バカ!!」
「は?リヒトぉ?」
睨み付けていた目はもう1人の男の人のその一言によってみるみる青ざめていき、震え出した。

