いつも君のとなりで


次の日、わたしはいつものようにバスに乗り、丁度会社の目の前のバス停で降りると、一つ溜め息をついて頭を抱えた。

「あったま痛っ、、、」

あのあと、わたしは糸師くんと二人でお酒を飲み続け、「お酒弱いなら、やめといた方が、、、」と言う糸師くんの言葉を無視して、「酔いたい気分なの。」とかっこつけた言葉を吐いておきながら、レモンハイ2杯で具合が悪くなってしまい、糸師くんにタクシーで自宅まで送り届けてもらってしまった。

わたしの方が年上なのに、、、かっこ悪っ。

完全な二日酔いだが、頭が痛いくらいで良かった。
頭痛薬持って来たから、あとで飲もう。

そう思いながら、わたしは自分の職場があるビルの中に入り、エレベーターで12階まで上がった。

そして、エレベーターを降りると、何やらいつもと違うザワザワした女子たちの声が聞こえてきた。

何事?

わたしは事務所が並ぶ廊下の左側を向いてみると、ある事務所の入口前に女性社員たちが集まり、何やら楽しそうに騒いでいたのだ。

その事務所は、営業一課の事務所だった。

何があったんだろう?
そう思いながら、わたしは自分の総務課の事務所へと入って行った。

すると、事務所に入った途端、総務課経理部の女子社員たちが「松雪主任!」とわたしに駆け寄って来た。

「お、おはよう。どうしたの?」

あまりの勢いで押し寄せて来る女子社員たちに驚きながら、わたしがそう訊くと、ある女子社員が「営業一課に新しい人、入れたんですか?!」と訊いてきた。

「え?営業一課?ううん、入れてないよ。何で?」
「営業一課に、見たことないイケメンが居るんです!だから、新しい人が入ったのかと思って!」

営業一課にイケメン?誰だ?

そう思いながら、わたしが自分のデスクにつくと、廊下から黄色い声が響き渡り、総務課の皆の視線が事務所入口に集まった時だった。

「松雪主任。」

わたしの名前が呼ばれ、ふと入口の方を見た。

すると、そこには見たこともないイケメンが立っていて、わたしの方に歩み寄って来たのだ。

え、、、誰?