いつも君のとなりで


「ありがとう、、、"大変な病気ですね"なんて言ってくれるの、糸師くんくらいだよ。」

わたしはそう言うと、手のひらに水溜りが出来た手のひらを、バッグから取り出したハンカチタオルで拭き取った。

「こうやって拭いても、また出てくるんだ。だから、ハンカチタオルは必須で何枚も持ち歩いてるの。」
「それって、治らないんですか?」
「多汗症は、治らないし治療法がないの。ただ、手術をして発汗をコントロールしてる神経をブロックすれば、汗は出なくなるらしんだけど、その神経ってたくさんあるみたいで、もし手足の神経をブロックしても、手足の汗が止まる分、他の場所に汗をかくようになる可能性が高いんだって。だから、完治にはならないし、、、他の場所に汗をかくのも嫌じゃない?それで手術は受けてない。」

わたしはそう言って、お通しで運ばれてきて手をつけていなかった枝豆を一つ手に取り、噛った。

「治らない病気なら、難病なんですか?」
「ううん、治らないし治療法もないのに、難病指定にはなってないの。生活に支障がある病気なのに、、、誰にも分かってもらえない。ただ"気持ち悪い"って思われるだけ。」

わたしは、この多汗症に何年、いや、何十年も悩まされてきた。

学生の時は、授業でノートを取っていると、ノートがベショベショになり、手の下にハンカチを当てながらノートを取ったりしていた。

飲食店でバイトをしていた時は、汗で手を滑らせ、コップやお皿を割った事もある。

わたしには、どんな生き方が合ってるんだろう。

それはいまだに見つかっていないし、分からない。

わたしは、、、普通に、周りの人と同じように生きちゃダメなのかな。