わたしの返事に糸師くんは照れ笑いを浮かべると、「こんなに嬉しいの、めちゃくちゃ久しぶりかも。」と言い、それから「こちらこそ、宜しくお願いします。」と言ってくれた。
すると、糸師くんは「松雪主任。俺の顔に触れられますか?」と言った。
「え、顔?」
「はい。触れて欲しいです。」
顔、、、糸師くんの顔に触れる。
触れたいけど、、、手とは、また違った意味で抵抗を感じてしまった。
そんなわたしの様子を見た糸師くんは、わたしの手を離すとベンチから立ち上がり、雨から守ってくれていた木の外に出て、両手を広げて天を仰ぐように雨を浴びた。
「え?!糸師くん?!」
糸師くんの行動にわたしは驚いた。
しかし糸師くんは雨に濡れながら、わたしを見て微笑んだ。
「もう、、、」
わたしはそう呟くと、わたしを思いやる糸師くんの行動に応える為、わたしもベンチから立ち上がり、糸師くんの元へと駆け寄った。
「え、松雪主任。風邪引いちゃいますよ?!」
「それ、糸師くんが言う?」
そう言って、わたしは糸師くんと向き合うと、わたしはそっと糸師くんの頬に手を伸ばして触れた。
「ありがとう、、、わたしの為に、雨に濡れてくれたんでしょ?」
わたしの言葉に糸師くんは優しく微笑むと、「だって、松雪主任に触れて欲しかったから。」と言い、それから糸師くんはわたしを抱き締めた。
「ずっと、、、こうして抱き締めたかったです。」
耳元で聞こえる糸師くんの声。
わたしは抱き締められたことに驚いたが、わたし自身もどこかでそれを求めていたのを感じ、ゆっくりと糸師くんの背中に腕を回した。
雨に濡れながら抱き締め合うわたしたち。
周りから見たら"変な人たち"かもしれないけど、これはわたしたちにしか分からない、わたしたちなりの向き合い方なのだ。



