「今日は映画観るんだよね?何観るの?」
わたしがそう訊くと、糸師くんは「前からちょっと気になってた映画があって。俺が観たい映画で申し訳ないですけど、付き合ってもらってもいいですか?」と言った。
「うん、もちろん!」
わたしはそう返事しながら思った。
そういえば、いつもわたしの話ばかりで、わたし、、、糸師くんのこと何も知らないかも。
糸師くんが観たい映画を観れば、少しは糸師くんを知れるかな。
そして映画館に到着し、糸師くんがチケットを購入してくれ、飲み物を買ってから3番スクリーンに入る。
映画が始まると、わたしは驚いた、というよりも糸師くんが観たかった映画の内容が意外で不思議な気持ちで見入ってしまった。
恋愛系ではないと思ったけど、アクション映画とか、サスペンス映画とか、そうゆう系かな?と思っていたが、糸師くんが選んだ映画は、親を亡くした8歳の男の子とおばあちゃんとの、ほのぼのとした、でも切なくも温かい映画だった。
映画が終わると、糸師くんは「興味ない映画なのに、付き合ってくれてありがとうございました。」と言った。
「ううん、何か温かい気持ちになる映画だった。糸師くんは、どうしてあの映画が観たかったの?」
わたしがそう訊くと、糸師くんは「俺、ばあちゃんっ子だったんですよ。」と答えた。
「両親が共働きで帰りも遅くて、ばあちゃんに育てられたみたいなもんで。」
「そうだったんだぁ。」
「母さんが仕事大好きな人で、バリバリ働いてて、出張とかもあって家に居ない日も度々ありました。でも、ばあちゃんが居たから寂しくなかったし、俺は働く母さんがかっこよくて好きでした。」
初めて聞く、糸師くんが育ってきた環境。
糸師くんは何だか嬉しそうに話していて、わたしは少しだけ糸師くんのことを知れた気がして嬉しかった。



