「せっかくの初デートなのに、雨降っちゃったね。」
わたしがそう言うと、糸師くんは「そうですね。」と言いながら空を見上げ、「でも、雨のおかげで初めての相合い傘が出来ます。」と言い、自分の傘を折りたたむと、わたしの傘の柄を持ち、わたしの傘の中に入ってきた。
「濡れちゃいますから、もっと近寄ってください。」
糸師くんにそう言われ、わたしは照れながらも糸師くんに少し近付いた。
「それから、、、手、繋ぎませんか?」
「えっ!でも、、、」
わたしが戸惑っていると、糸師くんは「じゃあ、俺の腕を掴んでください。腕を組んで、歩きたいです。」と言った。
「そしたら、、、糸師くんの服が汗で濡れちゃうよ?」
「大丈夫ですよ、気にしません。それに今日は雨が降ってますから。」
そう言う糸師くんは、わたしが居る方の腕を傘の外に出し、わざと自分の服を雨で濡らした。
「え?!糸師くん?」
「これなら、元々雨に濡れてるので、気にならないじゃないですか?」
「糸師くん、、、」
「どうぞ。」
そう言って、わたしに腕を差し出す糸師くん。
わたしは糸師くんを見上げ微笑むと、糸師くんの腕に自分の腕を絡めた。
「何か、照れるね。」
「照れますね。でも、嬉しいです。さぁ、行きましょうか。」
そうして、わたしたちは腕を組んで雨の中を歩き出した。
初めて触れる糸師くんの腕。
普段スーツ姿を見ていると細く見えたけど、掴んでみるとやはり男らしい腕をしている。
そして何より、温かかった。



