いつも君のとなりで


その後、わたしは辞令が出る前に営業二課の小山田チーフに事情を説明しに行った。

すると、小山田チーフは「なるほどね〜、分かったわ!わたしに任せて!」と言ってくださった。

「申し訳ありません。小山田チーフに教育係りをお任せしてしまうみたいな形になってしまって、、、」
「いいのよ!松雪主任の注意も聞かないなんて、随分と"ご立派な"お嬢さんみたいだし、わたしがビシバシと指導してやるわ!それに今、人手不足で仕事はたんまりあるから、わたしが付きっきりでサボる時間なんて与えないから!」
「宜しくお願いします。もし営業二課でもご迷惑をかけるようでしたら、総務にご相談ください。」
「大丈夫よ!松雪主任は心配しないで!」

そう言ってくれた小山田チーフに甘え、わたしは花村さんを小山田チーフに託す事にし、次の日には花村さんへの人事辞令が貼り出された。

花村さんはその人事辞令に最初は驚いていたが、営業二課はほとんどが男性社員の上に、花村さんが今狙っている男性社員が営業部に居るらしく、喜んで異動して行った。

「田岡チーフ。」

わたしがそう呼ぶと、広人は「はい。」と返事をした。

「花村さんが異動になったので、人事部も人員募集をかけるようにするけど、人員補充されるまでは協力して業務を行なっていきましょう。処理出来ないものは、わたしに回してくれていいから。」
「分かりました。、、、あのぉ、松雪主任。」
「何?」
「ちょっとお時間いいですか?」

広人にそう言われ、わたしたちは席を外すと、あまり人が出入りすることのない給湯室へと場所を移した。

「で、どうしたの?何か話?」

わたしがそう言うと、広人は落ち込んでいるような、覇気のない表情で「奈央、、、ごめん。」と言い、ゆっくりと頭を下げてきた。