いつも君のとなりで


そしてパスタ屋さんに到着し、テーブル席に座ると早速、わたしは糸師くんが言う"良い案"を聞くことにした。

「それで、良い案って?」
「あぁ、先日、営業二課で退職者が出たじゃないですか?」
「うん、島田くんでしょ?」
「はい。その島田の退職理由って、知ってます?」
「ううん。貰った退職届の理由には"一身上の都合で"としか書いてなかったから。」

わたしがそう言うと、糸師くんはテーブルに腕をつき、話の続きを小声で話し始めた。

「実は、島田が退職した理由、小山田チーフなんです。」
「小山田チーフ?確か女性のチーフだったよね?」
「さすが松雪主任ですね。」
「一応、社員全員の名前と顔は覚えるようにしてるから。それで、小山田チーフが退職理由って、どうゆうこと?」

小山田チーフは、営業二課のチーフで年配の女性チーフだ。

「小山田チーフって、結構厳しい人なんですよ。島田もちょっとサボり癖があるタイプだったんで、それで小山田チーフにガッツリ絞られて、耐えられなくて辞めたんです。」
「そうだったんだ。まぁ、確かに小山田チーフは"厳しい"とは聞いたことあったけど。」
「だから、花村さんを人事部から営業二課に異動させるのはどうですか?島田が辞めてから、まだ枠は空いたままですし。あの小山田チーフなら、花村さんを厳しく教育してくれると思いますよ。」

花村さんを営業二課に異動させる、かぁ、、、

花村さんは完全に営業向きではないけど、ある意味社会人として教育し直してもらうなら、小山田チーフに頼むのは有りかも。

わたしは糸師くんの"良い案"を聞き、「その案、前向きに検討してみる!」と言い、「さぁ、お腹空いたから食べよ食べよ〜!」と気持ちを仕事モードから休憩に切り替え、わたしたちはパスタランチを楽しんだ。