「悪いけど、"おばさん"って言われても全然平気。だって、花村さんだって4年後には30歳の"おばさん"になるのよ?永遠の26歳でなんていられないんだから。」
わたしがそう言うと、さっきまで余裕な表情で話していた花村さんの表情が一気に苛立ちに変わり、わたしを睨みつけた。
「そろそろ仕事に戻りなさい。いつまでも田岡チーフに付きっきりになってもらわないで、早く独り立ち出来るように頑張って?」
わたしがそう言い、花村さんの横を通り過ぎた時、花村さんは「また"気持ち悪い"って、言われますよ!」と言った。
その言葉に、わたしはつい足を止めてしまった。
「田岡チーフが言ってました。松雪主任って、手足に汗をかく病気らしいですね。女なのに、そんなに汗をかくなんて、気持ち悪いですよね。そのうち、糸師さんにも言われちゃいますよ?"気持ち悪い"って。」
"気持ち悪い"
その言葉がわたしの背中に突き刺さる。
しかし、わたしは何も言い返さずにそのまま歩き出し、トイレから出た。
"気持ち悪い"と言われて、何も言い返せなかった。
だって、、、自分でもそう思うから。
あの花村さん、気を付けないと危ない子だなぁ。
確か花村さんが面接に来た時に見た履歴書に書いてあった職歴、、、どの会社も一年くらいで退職してた。
これは、わたしのただの推測だけど、男関係で問題を起こして転職を繰り返してるんじゃないのかな。
わたしは職歴を見て、採用に反対したんだけど、広人が「俺が教育担当するから。」って採用したんだったなぁ。
わたしは一つ溜め息をつき、資料保管室へと向かった。



