いつも君のとなりで


そして、そのあとに今日も一緒に出勤してきた広人と花村さんは、周りのざわつきように「何事?」と不思議がっていた。

すると、経理部の女子社員が「営業一課の糸師さんが、めちゃくちゃイケメンになってたの!しかも、松雪主任をランチに誘ってて!」と花村さんに話していて、それを広人も一緒に聞いていた。

それを聞いた広人は、わたしの方をチラッと見たが、わたしは知らないフリをした。

何でこっち見たの?
もうわたしとは、何も関係ないのに。

広人は何だか面白くなさそうな表情を浮かべていて、「広人さん?どうしたんですか?」と花村さんに訊かれ、「何でもないよ。」と笑顔で答えていた。

それからわたしは、退職届を用意すると、営業一課の事務所へ向かった。

そして、入口をノックし「失礼します。」と中へ入る。

わたしはそのまま営業部課長の石田課長のデスクまで行くと「お疲れ様です。退職届、お持ちしました。」と、退職届を手渡した。

「わざわざ悪いね、ありがとう。いやぁ、営業二課の島田くんが退職することになってね。」
「島田さんですね、分かりました。退職の手続きと人員募集の件は進めておきますので。」
「うん、宜しく頼むよ。松雪さんは仕事が早いから助かるよ。」
「ありがとうございます。では、失礼致します。」

そう言って、わたしが営業一課の事務所を出ようとすると、糸師くんと目が合い、お互いにアイコンタクトで微笑み合った。

何だか嬉しい。
味方が出来たみたいで。

わたしは総務課の事務所に戻ると、すぐに人員募集をかける準備を始めた。