演劇部では毎年、伝統的に文化祭での演劇発表を行っている。
しかし今は部員が3人。
他の部員は脚本担当だったり、衣装担当だったりと忙しいらしい。
そのため図書館でよく見かけるわたしに声をかけた、と──
「ちょ、ちょっと…それにしても、なんでわたしなんですか?
わたし、演劇なんてやったことないですし…
それにわたし、お姫様なんて向いてないですよ」
わざわざひとつ下のわたしでなくとも、先輩のクラスメイトだったり…
ほかにもっと劇の才能があってかわいい人なんていくらでもいるはずだ。
それにわたしは言うまでもなく平凡で地味な高校生で。
「僕は──さっきも言ったけど、しずくちゃんがお姫様にふさわしいって思ってる。
だからそんなこと、言わないで。 ね?」
首を傾けながらにこっと笑う先輩は、なんというか…
とても絵になる、というか。
…わたしでいいんだ。 でもほんとうに?
まだ不安のほうが大きい、けど。
「わかりました、じゃあ改めて──
洸太先輩、よろしくお願いします」
「ふふ、よろしくね」
やっぱりその微笑みは綺麗で、わたしはまた見とれてしまう。
文化祭まで4ヶ月。
これから先輩と過ごす日々を考えると胸がきゅんと疼いた。
