君の世界は眩しかった。【完】

この物語は、“報われない愛”をテーマにしたものです。

けれどそれは、決して「不幸」や「絶望」を描きたかったわけじゃありません。
むしろ私は、報われない恋ほど、美しく、そして尊いものはないと思っています。

なぜなら、人は誰かを想う時、自分のことよりも、
その人の幸せを先に願ってしまうから。

この作品の主人公・笹浜 蓮は、
とても静かで、臆病で、不器用な男の子です。
でも、誰よりも一途に、一花を見つめ続けてきました。

そしてヒロイン・幸野谷 一花もまた、
自分を奮い立たせて生き抜くことに必死で、
だからこそ蓮の優しさに甘えることができなかった。

ふたりは恋人になれなかったし、最後に結ばれることもありません。

でも、彼らの間にあったものは、確かに“愛”だったと信じています。
誰にも見せなかった涙や、そっと交わした言葉、すれ違いの中に滲んだぬくもり。
それらすべてが、彼らの人生を確かに変えていった。



タイトルの「君の世界は眩しかった」は、
蓮の視点そのものです。

手が届かなくても、隣にいなくても、
それでも“君の生きる世界”は、
いつだって眩しくて、愛おしくて、羨ましかった。

その眩しさに触れたくて、
その光を追いかけて、彼は絵を描いたんです。

そして、一花にとってもまた、
蓮のまなざしは“自分を肯定してくれる光”だった。

恋は終わったけれど、
その光は、ふたりの人生にずっと灯っている。

そんな願いを込めて、
私はこの物語の最後に、“END”の文字を打ちました。



最後に、ここまで物語を読んでくれた読者へ。

もしかしたら、あなたにも報われなかった恋があるかもしれません。
誰にも言えずに、心の奥にしまい込んだ気持ちがあるかもしれない。

でも、それでも大丈夫。

その恋は、ちゃんとあなたを育ててくれて、
いつかあなたの人生を照らす光になる。

この物語が、そんなあなたの中に、
小さくても温かい何かを残せていたら――
それが、私にとって何よりの“報われた想い”です。

ありがとう。

また、作品を作るつもりなので、そこでお会いしましょう。

──リーシェより