君の世界は眩しかった。【完】

蓮sids

大学に入って、半年が経った。

日々は静かで、でも思ったより穏やかだった。
美術館に通い、街を歩き、風を描く。
人の輪の中に入ることも、少しだけできるようになった。

もう、誰かを“特別に想うこと”はしていない。

でも、誰かを“忘れようとすること”もしなくなった。

描く絵は、どこか遠くの景色みたいだと言われた。
そうかもしれない。

それでも、その遠くの景色には、
あの頃の僕と、彼女がちゃんといる。

それだけでいい。
それだけで、前を向いて歩ける。