君の世界は眩しかった。【完】

雨が降っていた。
放課後、傘を持っていなかった僕は、学校の裏庭にある小さな東屋で雨宿りをしていた。

誰も来ないと思っていた。
でも、数分後、聞き覚えのある声がした。

「……あれ? 笹浜先輩?」

傘をさして立っていたのは、演劇部の後輩だった。
名前は、小野寺(おのでら) 凛音(りおん)

いつもは明るくて、空気を読むのがうまい子。
でも、今日の彼女は、少し違った。

「……蓮先輩、ずっと描いてますよね。何を書いてるんですか?」

突然の問いに戸惑いながらも、僕は答えた。

「“忘れたくないもの”かな。」

それが、彼女にどう響いたのかはわからない。
でも、凛音は静かに笑って、僕の隣に座った。

「私も、そういうのがあります」