中三の文化祭。
私は初めて、蓮に「手紙」を渡した。
「美術部の展示、すごくよかったよ」
「……誰よりも、あなたの絵が、好きです」
それだけ。
たったそれだけなのに――
翌日、父が倒れて、生活がすべて変わった。
高校は行けないかもしれないって言われた。
舞台の養成所に通い始めたのはその後だった。
“演じる”ことで、現実を誤魔化せるから。
“誰かになれる”ことで、自分を忘れられるから。
それでも、ふとした瞬間に思い出す。
あの教室の窓辺。
あの横顔。
あの、何も言わずに隣に座ってくれた人。
私は初めて、蓮に「手紙」を渡した。
「美術部の展示、すごくよかったよ」
「……誰よりも、あなたの絵が、好きです」
それだけ。
たったそれだけなのに――
翌日、父が倒れて、生活がすべて変わった。
高校は行けないかもしれないって言われた。
舞台の養成所に通い始めたのはその後だった。
“演じる”ことで、現実を誤魔化せるから。
“誰かになれる”ことで、自分を忘れられるから。
それでも、ふとした瞬間に思い出す。
あの教室の窓辺。
あの横顔。
あの、何も言わずに隣に座ってくれた人。


