君の世界は眩しかった。【完】

夏休み最終日。
夕暮れの公園で、僕と紗月は並んでベンチに座っていた。

セミの声はもう少なくなっていて、
代わりに風がやさしく木の葉を揺らしている。

「ねえ、蓮くん」

「うん?」

「今日で“夏”が終わるね」

「……そうだね」

紗月が、持っていた小さなスケッチブックを僕に見せた。
そこには、花火、海、空、何気ない風景がたくさん描かれていた。

でも、最後のページだけが空白だった。

「このページ、最後まで描けなかったんだ」

「なんで?」

「……たぶん、ずっと“過去”にいたから」

彼女はそう言って、
夕焼けの空を、ゆっくりと見上げた。

「でも、今日なら描ける気がする。
蓮くんと過ごした、この“さよならじゃない一日”を」

僕は何も言えなかった。
ただ隣で、目を閉じて、風の音を聞いていた。