君の世界は眩しかった。【完】

夏休みも後半に差し掛かったある日、
彼女と二人で、小さな美術展を見に行った帰り道。

駅までの道で、紗月がぽつりと呟いた。

「蓮くん。ねえ……本当に好きだった人が、心の中にいたら、
 新しい誰かを、好きになるって……難しいのかな」

その言葉に、息が止まりそうになった。

けれど、僕は正直に答えた。

「うん。……難しいと思う。
 でも、その人がもう“戻らない”ってわかったとき、
 誰かのことをまた思えるようになるのかもしれない」

紗月は黙って、前を見ていた。

「そっか」

それだけ言って、
でもその横顔は、どこか安らかだった。

報われない想いは、時々、誰かの静けさに変わっていく。

そう思った。