君の世界は眩しかった。【完】

七月の終わり。
高校生活の夏が、本格的に始まろうとしていた。

教室の窓から蝉の声が聞こえる。
雲が流れていく空の下で、僕は新しいスケッチブックを開いた。

一花を描かないことに、決めたわけじゃない。

でも今は、“彼女じゃないもの”を描いてみたかった。

空。
光。
風のかたち。

そんな、誰のものでもない風景たち。

いつか、また誰かをちゃんと好きになったら――
その人を描けたらいい。

そう思えるまで、あともう少し。