君の世界は眩しかった。【完】

その後、一花は東京に引っ越した。

誰にも言わず、静かに。

学校では「突然の転校だったらしい」と騒がれたけれど、僕は知っていた。

彼女は──夢のために、“僕たちの時間”を手放したのだと。

僕は、もう一度だけ絵を描いた。

それは、舞台の上ではない。
美術室でもない。

ただ静かに、春の光の中で歩いていく、一花の背中。

その絵のタイトルを、僕はこう書いた。

「君の世界は眩しかった」