君の世界は眩しかった。【完】

その夜、久しぶりにスケッチブックを開いた。

白紙のページに、彼女の横顔を描こうとしたけれど、うまくいかなかった。
どんな表情を描いても、“届かない”という感覚ばかりが強くなる。

もう僕は、彼女のすべてを知っているつもりでいて

実は、何ひとつ追いつけていなかったのかもしれない。

静かな部屋。
鉛筆の音だけが、唯一、僕の存在を証明していた。

そして、描き上げたのは──
舞台の上で、光の中に立つ、一花の姿だった。

僕の知らない、誰のものでもない、“本当の彼女”。

その絵を見て、僕はようやく理解した。

僕は、一花の夢に恋をしていたのかもしれない。
でも、一花の隣に立つ資格はきっと最初からなかったんだ。