君の世界は眩しかった。【完】

それから、一花は美術室に来なくなった。

理由は言わなかったけれど、きっと、分かっていた。

僕が──彼女の“夢”に、追いつけなくなったことを。

放課後、美術室に一人で残る日々が戻ってきた。

でもそれはもう、前の“心地よい孤独”じゃなかった。
今は、取り残された感覚だけが、ずっとそこにいた。

ある日、机の引き出しに、渡せなかった絵を見つけた。

一花の後ろ姿。
夢に向かって歩いていく彼女を描いた、静かな一枚。

“幸せになってほしい”

本当に、そう思っていた。
なのに、願えば願うほど、彼女が遠くなっていく気がした。

僕は、彼女の笑顔が好きだった。
でも今の彼女の笑顔は――もう、僕に向けられていない気がしていた。