君の世界は眩しかった。【完】

あらすじ

「好きになって、ごめんね」
その一言で、僕の春は静かに終わった。

感情を言葉にするのが苦手な高校二年生の蓮は、美術室でひとり、絵を描くことだけが心の拠り所だった。
そんな彼の世界に突然現れたのは、明るくて、優しくて、誰にでも分け隔てなく笑顔を向けるクラスメイトの一花。

一見、華やかに見える彼女は、父子家庭で弟が三人。家では母親代わりとして家事や育児に追われながらも、“女優になる”という夢を追い続けていた。

「君の絵、なんか……泣きそうになるね」

美術室での偶然の出会いから始まった、ふたりだけの小さな関係。
言葉ではなく、絵を通して通じ合っていく心。
少しずつ近づく距離。
だけど、その手は最初から届かない場所にあった。

彼女には夢があり、家族がいた。

それでも蓮は、恋をした。
何度拒まれても、何度置いていかれても、ただひたむきに、彼女を想い続けた。

──あの子の夢が叶うなら、僕は「脇役」でもよかった。
彼女の世界が輝いている限り、僕の心は報われなくてよかった。

けれど最後に彼女が残したのは、
ひとつの言葉と、一枚の手紙。
そして、もう二度と戻らない笑顔だった――

「君の世界は、私の逃げ場所だったんだよ」

これは、
報われなくても、
それでも君を愛したひとりの少年の、
永遠に色褪せない初恋の物語。




-----------<リーシェから>---------------

すみません((
あらすしが500ぐらいなってしまって入らなかったのでここでも書くことにしました((