結城さんとの食事は本当に楽しかった。「少し遅れるかも」なんて保険をかけていたくせに、10分前に着いた私より先に来ているし、大学のときよりももっと洗練されていて、「今日は宮野の好きな物全部頼んでいいよ」なんて笑いながら言っていた。結城さんの仕事の話、面白い先輩の話、私の就活の話、結城さんが大学生の頃の話。話しても話しても話題が尽きなかった。お互いの恋人の話題になって、「俺、1年前に彩希(さき)と別れたの。」なんて言葉を聞いたときには、人の不幸ごとを喜ぶ自分に嫌気が差しながらも、胸弾む自分がいた。自分の中に、結城さんのことを好きだという気持ちがあることに気付いたときには、もうすでに彼女がいた。彼に告白できなかったのも、好きな気持ちを抑えながら「結城さんに一番気に入られている後輩」のポジションにずっといたのも、それが原因だった。人の彼氏を奪うことはできなかったし、結城さんとの関わりがなくなることは耐えられなかった。
「じゃあ結城さん、私のこと好きになってもいいですよ。」
夜という時間は、とんでもないことを私に言わせるなと思いながら、勢いに任せて言ってみた。どんな返事が来ても、今なら弁解できる。「冗談なのに本気にしないでください!」って笑いながら言ってしまえば、問題ない。
「宮野みたいに、天真爛漫で素直な人種は好きだよ。」
なんて、どっちとも取れる言葉が返ってきて。冗談なのにってふざけるつもりだった私は、固まってしまった。
「ほら、また人種とか言っちゃって。」
「じゃあ、宮野のこと好きだよって言ったらいい?」
「じゃあ結城さん、私のこと好きになってもいいですよ。」
夜という時間は、とんでもないことを私に言わせるなと思いながら、勢いに任せて言ってみた。どんな返事が来ても、今なら弁解できる。「冗談なのに本気にしないでください!」って笑いながら言ってしまえば、問題ない。
「宮野みたいに、天真爛漫で素直な人種は好きだよ。」
なんて、どっちとも取れる言葉が返ってきて。冗談なのにってふざけるつもりだった私は、固まってしまった。
「ほら、また人種とか言っちゃって。」
「じゃあ、宮野のこと好きだよって言ったらいい?」

