家の中には、32型くらいの大きさのテレビと、タブレットが置かれていた。そこで分かったことは、次のようなことだ。「誰にでもある、やり直したい過去。そこに一度だけ戻って、そのあとは、あなたの思い通りの人生を生きることができます。」そんな噓みたいなことがあるのか。そう思った瞬間、テレビから映像が流れだした。そこに流れたのは、私が高校生のときの記憶だった。仲の良い友達と会話をして、勉強している。家族と口喧嘩をしている。
ふと我に返ると、涙が出ていることに気付いた。その理由は簡単だった。そこで流れていた映像は、私が一番戻りたい瞬間、言い換えれば、私が人生で最も後悔している時間だったから。
映像がまた変わった。「あなたの戻りたい地点は、18歳の8月ですね?」文字とともに、AIのような女性の声が流れた。「このまま過去に戻って、人生をやり直す場合はタブレットの【やり直す】ボタンを、やり直さずにこのまま生き続ける場合は【やり直さない】ボタンを押してください。制限時間は、10分間です」
意外と考える時間をくれるのだなと冷静に思いながらも、気持ちは遠い過去に戻っていた。いろんな後悔が思い浮かぶ。あのときもっと頑張っていれば。諦めていなければ。きっと今は違う人生だったに違いない。「大手広告代理店に(山ほどいる)コピーライター」ではなくて、本当はもっと違う、叶えたい夢があったのだ。欲しい肩書きだってあった。「本当はあの大学に行きたかった」「本当はCAになりたかった」自分の中で押し潰していた夢が浮かんできた。あのときの自分が、もっと頑張れていたら…何度も何度も、壁にぶつかるたびに悔やんできたあの日に戻ってやり直せるなら。今のこの苦しみからも逃れることができるのかもしれない、そんなことを思う。過去を悔やむたびに、「そうなることは必然だったのだ」「あの日があるから今の私がいる」それっぽいことを自分に言い聞かせて、なんとか自分をなだめることもしなくて良くなるんだ。そう思ったら、自然と指は【やり直す】ボタンを押していた。
ふと我に返ると、涙が出ていることに気付いた。その理由は簡単だった。そこで流れていた映像は、私が一番戻りたい瞬間、言い換えれば、私が人生で最も後悔している時間だったから。
映像がまた変わった。「あなたの戻りたい地点は、18歳の8月ですね?」文字とともに、AIのような女性の声が流れた。「このまま過去に戻って、人生をやり直す場合はタブレットの【やり直す】ボタンを、やり直さずにこのまま生き続ける場合は【やり直さない】ボタンを押してください。制限時間は、10分間です」
意外と考える時間をくれるのだなと冷静に思いながらも、気持ちは遠い過去に戻っていた。いろんな後悔が思い浮かぶ。あのときもっと頑張っていれば。諦めていなければ。きっと今は違う人生だったに違いない。「大手広告代理店に(山ほどいる)コピーライター」ではなくて、本当はもっと違う、叶えたい夢があったのだ。欲しい肩書きだってあった。「本当はあの大学に行きたかった」「本当はCAになりたかった」自分の中で押し潰していた夢が浮かんできた。あのときの自分が、もっと頑張れていたら…何度も何度も、壁にぶつかるたびに悔やんできたあの日に戻ってやり直せるなら。今のこの苦しみからも逃れることができるのかもしれない、そんなことを思う。過去を悔やむたびに、「そうなることは必然だったのだ」「あの日があるから今の私がいる」それっぽいことを自分に言い聞かせて、なんとか自分をなだめることもしなくて良くなるんだ。そう思ったら、自然と指は【やり直す】ボタンを押していた。

