学校に着いた。

門が閉まってて、中には入れない。


「なぁ、あの店行く前な、俺、ここに
 来たんだよなぁ・・・」

ゆぅ君がそんなことを呟いた。

「したら、水嶋が大森達といて。
 それから、俺、しばらくここにいた」


私はびっくりして聞いた。

「やっぱり、いたの?
 なんか、ゆぅ君がいるような気がしたの。
 でも、いなかったよ?」

気のせいじゃなかったの・・・?


「なんか、照れ臭くて隠れた。
 それから、あの場所に行った」

「そうだったんだ。
 あの場所って?あの場所・・・?」

私がそう言うと、ゆぅ君は小さく頷いた。


「俺らの始まりの場所。
 マジで、何も変わってなかった・・・」

ゆぅ君があの場所に行ったって聞くと、
どうしても行きたくなった。


「私も行きたい!!」

「行きたいって言ってもなぁ・・・」

私が行きたいって言うと、ゆぅ君は少し
困った顔をした。


「ここ飛び越えて行こうよ!」

「ってか、水嶋、スカートだろ!!」


ゆぅ君はそう言うけど、私は大丈夫、大丈夫
って言って結局入ることになった。


どうしても、もう一度、ゆぅ君と一緒に
あの場所に行きたいんだ。


私は、真新しいワンピースがボロボロになる
のも気にせずに、塀を乗り越える。


「ははは~」

そんな私を見て、ゆぅ君が笑ってる。


こんなのも、私なんだよ。

そんなことを心の中で思った。