それからもタケルは、仕事が早く
終わった日や、休みの日には、
私のところに来てくれる。


「タケル、私のとこばっかきてると、
 彼女出来ないよ?」

「そんなもん、いらねぇんだよ!」

タケルは、そんなこと言うけど、
本当は知ってるよ。

私が寂しい想いしないように、時間を
作って、来てくれてるんだよね?


「優士が好きなら、会いに行け!!」

私に気を使って、誰も言わないことを
ストレートに言ってくれる。


「言葉で伝えなきゃ伝わらないぞ!」

いつもいつも、私にそう言ってくれる。


それは分かってるけど、出来ないんだ・・・。


私、これでもすごく前向きに
なれてるんだよ?


・・・だけど、恐いの。

ゆぅ君に会うことが・・・。

あれから、9年も経ってるから、
もう私のことなんて忘れてると思う。


ゆぅ君にはもう、大切な人がいると思うし。

もしかしたら、結婚してるかも・・・。


だから、私なんかに会いに来られても
困ると思う。


そう思うと、なかなか前に進めないの。