「ちょっ…ちょっと太郎泣かないでよ……
あたしそんなつもりで言ったんじゃないよ?」
「す、すみません……でも……
何か納得いかなくて。愛美さん何も悪くないのに」
「いや……勘違いされるような事したあたしにも非があるんだよ、きっと」
「……でも‼愛美さんをこんなやり方で傷付けるのは間違ってます!」
──────ギュッ……
え………
引き寄せられた際に甘い香りが鼻を掠め、その香りが余計に混乱を招いた。
太郎があたしをギュッと抱き締めて、あたしは息が出来ない程苦しくなる。
「ちょっと……‼た、太郎…っ」
「そのまま聞いてくれますか?」
──────ドキッ……!
抱き締められたまま、男らしく言い切られて動きが止まる。
いつになく、真剣な表情の太郎。
こんな太郎は初めてで、あたしはその瞳に吸い込まれるかのようにただじっと見つめてしまっていた。
「──────本当は……
オレ、ずっと前から愛美さんの事が気になってました。」
「…っ、」
ドクンドクンと脈打つ太郎の心臓の音が、すぐそばで聞こえる。
でも次の瞬間には、もう反射的に人を拒否する言葉が口から溢れていた。
「は、はなして」
「嫌です」
「離してってばっ……!」
「絶対嫌です!!
こんなボロボロの愛美さん放っておけるわけないじゃないですか!」
「……や……!!」
「愛美さん、お願いします。
そんなにがむしゃらにならないでください。
オレは愛美さんに多くは求めません。
ただ………
ただ辛い時は辛いって素直に吐き出せる、そういう奴でいいですから」
「………太郎っ……」
「………ただあなたの側にいたいんです。
泣きたい時に、泣ける居場所として利用してくれたら……
オレ、それだけで幸せですから。」
──────………
ねぇあたし
どうしてこんなに涙が止まらないの?



