……こんなに泣いたのは、いつぶりだろうか。
感情を露わにする事も嫌だった。
泣くのも自分が負けだと認める様で泣けずにいた。
支えてくれる人はいないから、強く振る舞う自分だけに頼っていた。
………頼るしか、なかった。
「愛美さん、泣きたい時は思いっきり泣いたらいいんですよ。………大丈夫です。」
「………ふっ……〜〜〜〜ッ……」
ポンポン……と。
まるで子供をあやすかのように、背中をさすってくれる太郎。
その手が………温かくて大きくて。
ただただ、弱っている私の背中に滲みた。
人ってボロボロに傷つける事もしてくる生き物だけど、こうやって慰めてくれる人もいるんだね……。
人って、こんなに優しいんだ……と。
最後に人の温もりに触れたのはいつ振りだろう?
もうずっとずーっと長い間、人を拒否し続けて来たから分かんなかった。
………ひとしきり、泣いた後。
「……あー……何かいっぱい泣いたらスッキリした……」
さんざん泣いて、泣きまくったら気持ちが何だかスッキリした。
「……良かったです。」
「ありがとうね、太郎。」
「いえ、当たり前の事をしただけですから。」
暗闇の中でも分かる。
きっと太郎はあの笑顔であたしを見つめてくれている。
………太郎は
ずーっと何時間も何時間も、あたしが泣き止むまでただ側にいてくれた。
時には、何も言わず。
時には、肩を貸してくれたり。
必要があれば、話もしてくれる。
彼は、大らかに………
そう、まるで海のように寛大な態度であたしの側にいてくれた。
………あたしは、そんな彼の存在に救われていた。



